陸を行く船



たとえば、同じ船に乗ったようなものだと思うんだよ。
アンタと俺では考え方も生き方も、全く違うと思っていたから。
異質なものに出会った時に感じる、特有の不快感。
俺がアンタに感じているのは、まさにそれだと思っていたんだ。
時が移ろい、感情が変化して。
アンタに感じた不快感、それは日増しに高まって、所謂ところの同属嫌悪と、俺は知る。
似ているんだ、俺たちは。
けれど、どうにも拭えないこの違和感が、アンタと俺は異質なものだと示唆をする。
多分似ている、俺たちは。
生きる先の目的が、決定的に違ってた。

それでもこうして二人が出会って、感じ続けた不快感、そしてそれから違和感と、それらを凌駕していくこの感情の昂ぶりは、言葉で表すには、あまりに難い。

もともと一人だったんだ。
生きる目的が違うんだ。
けれど、アンタと俺は同じ船に乗ってしまった。

「…言うほど、気が短いわけじゃねえんだよ」
「最短コースで突き進んできたとばかり、思っていたがね」
「それは、アンタの方だろう?」
「どうかな…。私は割と気の長い性質でね」

生きる道筋とその目的の違う者同士が、行き先の同じ船に乗ったとする。

「行く先が望む場所でないのなら、ただ降りれば済むことなんだ」
「そうだね。君がそれを望むなら」
「望んでるのかな、俺は」
「わからんよ。…ただひとつ、わかるのは」

船に乗るもの同志の未来が重なりあって、一つの未来が作られるとする。
それが望む未来ではないのだとしても、船は進まなければならない。

「私が先に君を手放すことはないだろうということだけだ」

生きていれば、背負うものは一つきりではないのだろう。
背負うものがどれほど大きく重くとも、人は生きていかなければならない。






日記小話サルベージ。
得意の意味不明小話。





モドル