ハロー、マイサンシャイン



ユーアーマイサンシャー♪
マイオンリーサンシャー♪

「サンシャイン、だ。鋼の」
「知ってる」
こめかみに銃を突きつけられた男は、それは失礼。とのんびり笑った。

「アンタさぁ…」
「ん?」
「少しは怯えるとか抵抗するとか、そういうのないの?」
「ああ、そうだねえ。じゃあ…。『頼むから撃たないでくれ、鋼の』」
「じゃあってなんだ、じゃあって」
「ははは」
「…ははは、じゃねえって」
公園のベンチにだらしなく腰掛けた男が、シャツのボタンを二つ外した。

「それにしても、暑いな」
「暑いよな」
容赦なく照りつける太陽が、煌々と光を放っている。
「撃たないのか?」
「撃てないんだ」
「なんだ、怖気づいたのか」
「銃と指が一体化しちまって、引き金が引けないだけだ」
「…なるほどな」
轟々と音を立てて風が吹き、辺りの木々がミシミシ軋んだ。

「…死ぬとして」
「ん?」
「ここでアンタが死ぬとして」
「ああ」
「他の何かにアンタが殺されていく様を指を咥えて見ていることしかできないのなら、俺がこの手でアンタを殺したい」
「…存外に私は君から好かれていたんだな」
「そんな生易しいもんじゃねえんだよ」
大地が揺れて、辺り一面の草木を根こそぎ薙ぎ倒していく。
太陽が間近に迫り、この星は直に終焉を迎えようとしていた。

ユーアーマイサンシャイン
マイオンリーサンシャイン

「アンタ、今すんげえ『ン』を強調して歌っただろ」
「ははは」

風が吹く。地鳴りが響く。
閃光が世界を包み、視界の全てが白に変わった。

「…なにしてんの」
「君が小さくてよかったな。少しは日除けになるだろう?」

自分の身体の下に隠すがごとく、男が覆いかぶさってくる。
視界の白が黒に変わり、俺は一瞬、世界から隔離された。

「なあ」
「ん?」
「多分、無駄だと思うけど」
「まあね。それでもね」
「大佐?」
「ああ。…死ぬとして」
「うん」
「君がここで死ぬとして。他の何かに君が殺されていく様を黙って見ていることしかできないのだとしても、私は君を最後まで護りたいと、そう思うよ」

ハロー、ハロー、サンシャイン。
アナタをこんなに近くで見ることなんて、後にも先にも一度きり。

「…なんだよ。俺ってば結構アンタに好かれてたんだな」
「――そんな生易しいものではなかったさ」

ハロー、さよなら、マイサンシャイン。

太陽が堕ちてくる。










モドル