白い素肌にシルクのシャツを羽織って、少女が小さく身を震わせている。
「まだ、寒いか?」
「ううん。平気」
なるべく肌に触れぬよう細心の注意を払いながら、シャツのボタンを一つずつ丁寧にはめていく。
「…鋼の」
「なに?」
「前から言っていることなんだがね」
「うん?」
「すぐに服を脱ぐ癖をなんとかしなさい。…特に男の前ではね」
「…脱がないよ?」
「脱いでるだろう。ちなみに私はこれで二回目だよ。目の前で君に服を脱がれたのは…」
「脱がないよ」
「…あのな」
最後のボタンを留めた手は、少女の冷たく柔らかな指先で、その場に押し止められたままでいる。
「脱がないよ。他の男の前でなんて」
「・・・」
「大佐だからだよ?…なんだ、わかってないんだな」
「――それは、一体どういう…」
「ねえ、これさ」
尋ねようとした言葉の続きは、少女の声で遮られた。
「…なんだ?」
「これって、やっぱり大佐のパジャマ?」
「ああ、そうだよ」
「やっぱ、でかいね。ぶかぶかだし」
「まあ、それはな。服が乾くまで我慢してくれ」
「そんなのいいよ。それよりも――」
「ん?」
「このシャツ、大佐の匂いがする」
「…あ、ああ。今朝まで着ていたからな…。他のシャツと取り替えよう」
捕らえられたままの指先を慌てて引き抜き、他の服を見繕うべく振り返ろうとした瞬間。
「ううん。これでいい」
そういった、少女の視線に囚われた。

「――これがいい」
まるで、大佐に抱かれているみたいだ。
少女はそう呟くと、シャツの襟に頬を寄せ、そっと静かに微笑んだ。


部屋の外では、変わらず雨が降り続いている。