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大家さんと一緒に母屋に向かった。 聞かされた話は、俄かに信じがたいものだった。 大家さんが言ったように、薄暗い床下の奥に、小さく丸まった白い影が見える。 「…にぼし?」 シンと静まり返る暗い土の上から、聞こえるはずの返事がない。 「にぼし…?」 何度呼びかけても、ニーと応えるにぼしからの返事はなかった。 大家さんの家の床下で、にぼしは冷たくなっていた。 * どれくらい時間がたったのだろう。 部屋の中で一人きり、冷たくなったにぼしを抱えて、俺は途方に暮れていた。 「エド!」 玄関先でガタガタと音がして、呼ばれた先に顔をあげて振り向けば、ロイが呆然と立ち尽くしていた。 「ロイ…。にぼしが…」 「今、表で大家さんに会ったよ。話は全部聞いた」 「にぼしが、死んじゃった」 「ああ…」 口に出した瞬間に、事実が現実となって圧し掛かってくる。 そうだ、にぼしは死んでしまった。 腕の中でくたりとしたまま動かない。ニーと甘えて鳴くことだって二度とはないのだ。 もっと早く探してやればよかった。 もっと大事に可愛がり、もっと愛してやればよかった。 悔やんでも悔やみきれない、にぼしはひとりで逝ってしまった。 「エド」 にぼしを抱えて涙をボロボロ零して泣き出した俺を抱き、ロイが俺の背中を撫で続けている。 「エド」 「…ん」 「あとで一緒に、にぼしの墓を作ろうな」 「墓?…埋めちゃうの?」 「ああ。…君もにぼしも寂しくないよう、なるべく近くに作ろうな?」 「…ロイ?」 ロイは寂しくないのかと、そう尋ねようとして、常にない真剣な眼差しをしたロイの表情に思わず息を呑む。 「それからね。君に聞いてもらいたいことがあるんだよ」 出て行くのか、と。 そう尋ねようとしてやめた。 答えはすぐにでるはずだ。 ひとりで逝ってしまったにぼしのように、お前も俺を置いて行くというのだろうか。 「エド」 「…なに?」 「随分と君には迷惑をかけてしまったね。でも、もう…」 頬を伝う涙の雫を拭いながら、ロイの指先が俺の頬を何度も辿った。 「ロイ…?」 「…ああ」 雨宿りは、もう止めだ。 そう言って、優しい顔で微笑んだ。 |