好きだと言って、意識を向けさせ。愛しているとそう言って、君の心を混乱させた。
そして君に接吻を。…君の気持ちが私の想いに引き摺られるように。
「そうまでしておきながら、私は二の足を踏んだんだ。このまま君を引き摺れば、いつか君がそれに気づいた時に、
きっと俺を憎むだろうと…」
卑怯な臆病者だと、小さく笑った。
「大佐、俺…」
本当は嬉しかった。初めて好きだと言われた時。
嬉しくて舞いあがった。初めてキスをされた時。
「大佐のこと、好きだよ…」
欲しがってほしい。もっと俺のことを。
もっともっと、欲しがって。奪うくらいにもっと、強く。
欲しがっていたのは、俺のほうだ。
欲しくて欲しくて堪らなくって、それでも欲しいと言えなくて。
だから欲しがってもらいたかった。
…卑怯で臆病者だったのは俺。
「…頭がおかしくなりそうだ。私は君に、優しくしてやりたいと思う。穏やかに見守り続ける存在でありたいと願う。
それはもう、本当に。…でもそれだけでは足りないと、そう訴える自分がいるのも知っている」
「大佐?」
「私を好きだと言ったこと。…後悔するなよ?君がそれを許すなら、私に躊躇う理由はないんだ」
「…そんなこと、わからない」
そう答えたら、俺を見つめる大佐の瞳が一瞬不安げに揺らめいた。
こんなに自信のない大佐を見るのは、多分初めてだったと思う。
「後悔するかどうかなんて、やってみないとわからない。いいんだそれでも。後悔しても構わない。
何も知らないままより、ずっといい…」
だから、俺に教えてよ。
アンタがどれだけ俺のこと、本気で欲しいと思っているのか。
俺がどれだけアンタのことを、本気で欲しいと思っていたのか、俺もアンタに伝えるから。
包み隠さず、その全部を伝えるから。
瞳を閉じて、大佐の唇にそっと自分のそれを重ねる。
唇が小刻みに震えるから、ほんの少し唇がずれてしまっていたけれど、大佐は黙ってそれを受けとけてくれた。
「俺…自分からキスしたの、初めてだ…」
「そうか。…多分、私も初めてだよ。こんなにも…」
頬を辿る大佐の指先が小さく震えている。
その指先を口に咥えて軽く噛んだら、いきなり覆い被さるように抱き締められた。
「…大佐?」
「好きだよ、鋼の。…バカみたいに聞こえるだろうが、他に伝える言葉が見つからないんだ」
「うん。…うん、俺もね。俺も、好き…」
好きだよ、大佐。
どんなに言葉を尽くしてみても、この気持ち全てを伝えることなどできなくて。
だから何度も何回も、同じ言葉を繰り返す。
好きだよ、大佐。好きだよ、好き――。

それからまるで初めて接吻を交わすかのように、互いに震える指先を絡めあい、再びゆっくり唇を重ねた。








企画お題:初めての夜。
個人的お題:素股とケツ掻く大佐。