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「…わからん、豆だな」
「ああ!?なにが」
「例えば、三ツ星レストランに君を誘ったとする」
「うん」
「でも君は、簡単に誘いには乗ってこないだろう?」
「まあね」
「例えば、君にバラの花束を贈ったとする」
「うわ、きっつー・・・」
「ほら、そうやって。君はそれを受けとらんだろう?」
「だって、キモいじゃねえか」
「そのくせ、こういう時にはついてくるんだから、わからんよ」
「そう?」
「どこに好き好んで、命を狙われている男について歩くバカがいる?」
「アンタの可愛い部下達だって、知ったらついてくるんじゃねえの?」
「だから、黙ってきたんだろうが」
「そうですか」
「君にも知らたくはなかったよ」
「偶然って、怖いよなぁ」
「…偶然、ね」
「偶然さ。アンタの自室に、まさか脅迫状がてんこもりで置かれてるなんて思わなかったし」
「迂闊だった」
「まあ、勝手に部屋に入った俺もある意味、迂闊でした」
「…で?君はどこまでついてくる気だ?」
「一人でこいって書いてあったからなあ…。脅迫犯のご指定の場所、直前まで?」
「ついてくる気か」
「まあね」
「正気の沙汰とは思えんな」
「本気で一人で行こうとする、アンタこそがね」
「…私が黙って大人しく殺されるとでも思っているのか?」
「まっさかあ!」
「だったら、何故…」
「佐官の命を狙う輩のご尊顔を拝んでみたいから?それに、アンタが一人で出向くほどのどんな弱みを握っているのか、今後のために知っておきたい」
「・・・ああ、そう」
「あとは、万が一に備えて?」
「ああ?」
「だって、うっかり怪我でもされて。それでなくとも無能なアンタが、更に不能にでもなったらさ。可哀想で可哀想で、俺、アンタから一生離れられなくなりそうじゃん」
「・・・」
「血をだらだら流しても、ちゃんと止血してあげちゃうよ?なに、俺ってばナイチンゲール?いっそ、天使と呼ぶがいいよ」
「・・・天使」
「よし。でもまあ、いざとなったら助けにいってあげるから。存分に暴れていらっしゃいませ」
「・・・それはそれは。頼もしいことだ」

男はそう言って小さく笑った。
敵陣が目前に差し迫っている。