可愛い人
所謂、正常位の形でガンガン腰を打ちつけられて、軽く打ちのめされた気分を味わっていたら、大佐は俺を抱えたまま、なんと立ち上がったのだから驚いた。
「…ッ!?うあッ、ああ…ンッ!〜〜!」
「ッ、振り落とされる、なよ?」
「ヒッ…ァ、あ、アンタいきなり無茶しすぎ…ッ!」
繋がった一箇所に、俺の体重がすべてかかっていくようで、もうなんだってこんなに、深いところまで。
これは既に別の生き物なんじゃねえのかって位に、まるで自らの意思を持った動物みたいに、俺の中で動き続ける、アンタのさ。
こんなに奥の奥にまで、アンタを感じたことなんて、今までなかったんじゃないかって、いやもうこれは、本当に。
そんなこんなで俺なんかとっくにテンパってんのに、アンタがそうやって俺の中、どこまでも潜り込んでこようとするように、腰を打ちつけてくるからさ。
ああもうきっと、俺はアンタにつっこまれるために生まれてきちゃったんだよ、もう絶対。なんてバカなことばっか頭の中をよぎるんだ。
「ッ〜〜!ぅあ…」
「クッ・・・!しがみついてろ。離すな…よッ?」
言われなくても。そう答えようとしたけど、声にならない。
だから、黙って再びアンタの首にすがりついた。
ああ、クッソ。…気持ちよすぎて声もでねえ。
突き上げられて抉られて、目の前が一瞬スパークしたと思ったら、そのまま真っ白になっちゃって、後のことはもう全然覚えていない。
気がついたら、目の前に俺の顔を覗きこむ大佐の顔がドアップで、なんつーか、色んな意味で驚いた。
「…大丈夫か?」
「ん…ぁあ、平気」
どうやら俺は意識を飛ばしていたらしく、さっきまで大佐に抱えあげられていたはずなのに、今はちゃんとベッドの上で寝かせられていた。
「いやあ、驚いたよ。…そうかぁ、気をやるほどよかったか。やっぱりあの体位だと…ゲフッ」
満足げに頷く男は、とりあえずコブシで一発黙らせといた。
「…いきなりすぎだ、アンタ」
「ゴホ。…なにが?」
「抱えて立ちあがりますよーとかさ、事前にお知らせしろよ、俺に!」
「あ?ええー?…あ、ああ。善処する」
無言でコブシを振りかざして黙らせる。
「うあー、疲れた…」
「でも、よかったろ?」
「あー…、聞くんだ?そういうことを」
「聞きたいねえ。…私は凄くよかったよ」
「…ッ!あ、アンタって…。恥じらいとかそういうのを…」
「君がねえ、必死に縋りついてきて、抱き合いながら」
「・・・」
「これ以上のものはないなーと、思ったよ」
そういうことを。
こんな幸せそうな顔で、なんてことを言うのだろう、この男は。
「大佐」
「ん?」
腕をあげるのも億劫で、だから指先だけで目の前の男を呼ぶ。
素直に身を寄せてきた男の耳元に
「俺もさ、すっげよかった」
と囁いて、目の前の愛しくも可愛い男の頭を、思いっきり抱き締めた。