Mustang A Go Go !!!



久しぶりに軍部へ寄ったら、いかにも機嫌の悪そうな大佐に絡まれた。

「つかさー。俺ってば、どこに連れていかれちゃうわけ?」
「さあ?君が望むなら、いっそ天国まで連れていってあげようか?」
「…洒落になんねえから、それ」

機嫌の悪い顔そのままに、それでも謎のハイテンションで、大佐は車を飛ばしていた。
そして、なんの因果か、同乗者は俺ひとり。

「光栄に思い給えよ、鋼の」
「…なにを」
「私の運転で、しかも助手席にいられるその幸運を。そうそう滅多にない機会だぞ」
「だから怖えって言うんだよ。・・・つか、人を勝手に拉致っておいて、よくそんなこと言えるよなー」

車はすでに街中を抜け、街灯も疎らな田舎道を、ただ只管に飛ばしていく。

「で?どこに行きたい?鋼の」
「はい?今更それを聞くのかよ?!大体、ここ何処なんだよ!」
「さあ?何処だろうな…。なんだ、わからないのか?君も」
「自分でもわからない癖に、すっげエラソウだな、アンタ」

なにかあったのか?とは聞かない。
聞いたところで、素直に答えるような男ではない。

「…帰りたいか?」
「あ?…アンタ、帰り道わかってんのかよ?」
「…さあ?どうだろう?」

別に何があったかなんて、知りたいとは思わないが。
こんな風に微妙に弱ったこの男の姿を見るのは、いやじゃない。

「あの山の麓」
「ああ…」
「…から。山を越えて、この道の続く限り、どこまでも」
「え?」
「乗りかかった車ですから?ついていってやるよ。こんなところで置いていかれても困るしな。…連れてけよ。どこまでだって」
「・・・そうか」
「おう。んじゃまあ、景気良く飛ばしてけ!行けー!マスタ!!」
「…マスタ言うな!」

車が山を目指して突き進む。
山を越え、星を跨いで、その先の、
見えない道を、ただ真っ直ぐに。