風景
どこまでも続く一本道を、ただひたすらに前を目指して歩いている。
ふと思いついて周りを見渡せば、そこには一面に広がる田園風景。
どこか懐かしい気持ちにさせるその様子をしばらく眺めて、また前へと歩き出す。
そういえば、村にあった教会の、屋根のレンガがどうしてもほしかったことだとか、
裏庭に遊びにきていた野ウサギは、どれくらい大きくなったのだろうとか、
思い出すのはそんなことばかりで、本当に思い出したい事柄は、今は胸の奥底にしまっておかれてあるようだ。
風が吹いて、穂がつくには幾分早い緑にもゆる麦の葉が揺れた。
ザワ、ザワ、ザワ。
立ち止まって振り返れば、後ろに続く長く細い一本道。
再び振り返れば、前も延々と続く長く細い一本道。
進む方角は果たしてこれでよかっただろうか。
胸に不安がよぎった。
けれどここまで歩いて来た道を、今更引き返すわけにはいかないので。
自分の前に続くこの道が、確かに自分が進むべき道なのだと信じて、ひたすらまでに、今は歩く。
ザワ、ザワ、ザワ。
風が吹く。
そして、少年は再び歩き出す。